大気のフィードバックを考慮した陸面水循環の流出過程に対する感度実験

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タイトル別名
  • Sensitivity of a Simulated Water Cycle to a Runoff Process with Atmospheric Feedback
  • Sensitivity of a Simulated Water Cycle

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抄録

大気陸面水循環における流出過程の重要性を調べるために、境界条件を理想化した大気大循環モデルを用いて数値実験を行った。地中の排水流出および地表の飽和流出を表現する2つの流出スキームを別個にモデルに組み込み、シミュレートされた水循環を比較した。<br>流出スキームに対する水循環の感度は、一般に流出量の大きい熱帯、雨季の亜熱帯、高緯度で大きかった。地表が十分湿潤で降水または融雪が比較的小さいとき、地表流出のスキームは排水流出のスキームに比べて流出を小さく、逆の条件では大きく見積る。この流出量の差により地表湿潤度の系統的な差がもたらされる。しかし、流出量のスキームによる違いが顕著でなくなると、地表湿潤度の差は蒸発と流出のフィードバックにより減衰する。大気のフィードバックが無いとすると、この減衰の時間スケールは1ヵ月より短いと見積もられる。しかし、大気のフィードバックの効果によって地表湿潤度の差は数ヵ月程度持続する。この過程で蒸発-降水のフィードバックが特に重要な役割を果たしていると考えられる。

収録刊行物

  • 気象集誌. 第2輯

    気象集誌. 第2輯 74 (6), 815-832, 1996

    公益社団法人 日本気象学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (59)*注記

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