電子ビームを用いたラムダハイパー核の精密分光 (解説)

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タイトル別名
  • Precision Spectroscopy of Lambda Hypernuclei Using Electron Beams

抄録

ストレンジクォークを含むラムダ粒子を原子核に導入すると,どのような研究が可能になるだろうか?ラムダ粒子はストレンジネスを持つバリオンであるハイペロンのうち最も軽い粒子である.アップ,ダウンクォークから構成される核子とは異なる粒子であるため,パウリ排他律の制限を受けることなく原子核深部に埋め込むことが可能である.このラムダ粒子を構成要素として含む原子核,ラムダハイパー核の精密分光実験を行うことにより原子核深部を調べたり,核力とQCDの架け橋としてのバリオン力の研究が可能になる.ラムダハイパー核の精密分光実験は,これまで中間子ビームを用いて精力的に行われており,現在ではラムダ粒子を二個含んだダブルラムダハイパー核や,より重いハイペロンを含んだハイパー核などの分光研究も本格的に始動しつつある。一方,電子ビームを用いたラムダハイパー核分光は,1980年代後半からその重要性が認識されていたものの,実験的な困難さから,2000年にようやく開拓的なハイパー核分光実験が実現されるに至った.その後実験手法・実験装置に関して目覚ましい発展を遂げてきており,今後さらなる展開が期待されている,本稿では,電子ビームを用いたラムダハイパー核の精密分光について解説するとともに,その研究から得られる物理を紹介し,今後の展望について述べる.

収録刊行物

  • 日本物理学会誌

    日本物理学会誌 68 (9), 584-592, 2013-09-05

    一般社団法人 日本物理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001277370042368
  • NII論文ID
    110009657920
  • DOI
    10.11316/butsuri.68.9_584
  • ISSN
    24238872
    00290181
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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