水晶体脱臼を伴う眼球腫大のスナネズミ4症例

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  • Swelling of Eyeball Accompanied with Lens Luxation in Four Mongolian Gerbils

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抄録

<p>スナネズミは英語名でMongolian gerbil(Meriones unguiculatus)と呼ばれ、日本で実験動物化された数少ない動物のひとつである1)。アルビノであるMGW近交系スナネズミの4ペアから出発した約1年間の自家繁殖過程において、686例中5例に片側の眼球が腫大した産仔がみられ、そのうちの4例について眼科学及び病理組織学的検査を行った。腫大した眼球では虹彩の前癒着がみられた。そのうち1例では、混濁した水晶体が頭部の向きに応じて眼球内を移動するのが観察され、残る3例でも水晶体が毛様体付近に偏位あるいは後方に位置していたことから、水晶体脱臼と診断した。病理組織学的には、毛様体及び毛様小帯(チン小帯)の形成不全がみられ、水晶体の支持体である毛様小帯の形成異常が水晶体脱臼の直接的な要因と考えられた。しかしながら、眼圧上昇やそれに伴う眼球の腫大、角膜浮腫、角膜及び網膜の菲薄化、視神経の萎縮、視神経乳頭の陥凹などいわゆる緑内障を示唆する病変を伴っていたことから、毛様小帯の異常及びその結果としての水晶体脱臼は緑内障に続発して発現した可能性も考えられた。病変の発生率は低いが、4症例とも少数の動物に由来する同一コロニーの動物にみられたことから、遺伝的な背景の関与が示唆された。</p>

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