山形県における鯉食の実態と新しい鯉料理の官能評価

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タイトル別名
  • Carp food in Yamagata prefecture and sensory evaluation of new carp dish

抄録

<p>【目的】山形県には鯉食文化が残るが,近年の鯉食に関する実態調査はほとんどない。また,従来の鯉料理は種類が少なく,泥臭さや小骨の食べにくさが問題とされる。そこで,山形県内で鯉食文化が残る地域の鯉食の実態を把握するとともに,従来の問題を解消した新しい鯉料理の提案を目的とした。若い世代や広い地域への提案を想定し,大学生における官能評価を行い,鯉食文化の有無が評価に与える影響を検討した。</p><p>【方法】鯉の食経験と食味イメージについて質問紙調査を行った。また,従来の鯉料理・甘煮を対照に,新しい鯉料理(蒲焼き,白焼き,糀味噌漬け,醤油漬け)について9段階評点法による官能評価を行った。いずれも被験者は,山形県内で鯉食文化が残る置賜・村山・最上地方出身者の鯉食文化あり群(以下E群)30名と,県内で地理的に豊富な海水魚が手に入る庄内地方出身者及び県外出身者の鯉食文化なし群(以下N群)32名とした。N群には鯉食文化が残る県外地域出身者5名を含んだが,県内で鯉食文化が残る地域の鯉食の実態を把握するため,県外出身者は全てN群とした。</p><p>【結果および考察】鯉を年に1回以上食べる人は,E群で47%,N群で0%であり,両群ともこれまでに数回だけ食べたことがある人が最も多かった。食味イメージは,両群で,臭い,味付け,小骨に関する順に多く,E群では鱗や外観に関する記述があった。いずれの新しい鯉料理も,泥臭さと小骨の食べにくさが甘煮よりも有意に解消された。醤油漬けは,他よりも有意に味付けが濃く,生臭さが甘煮と白焼きよりも有意に解消された。総合的には,E群では,糀味噌漬けが醤油漬け以外のいずれよりも有意に好まれ,N群では,糀味噌漬けが蒲焼き以外のいずれよりも有意に好まれた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158286336
  • NII論文ID
    130007695551
  • DOI
    10.11402/ajscs.31.0_113
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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