Sternberg’s canal型髄膜脳瘤例

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タイトル別名
  • Encephalocele through Sternberg’s Canal: A Case Report

抄録

<p>蝶形骨洞に限局する髄膜脳瘤とそれに伴う特発性髄液漏は非常に稀な疾患である。Sternberg’s canalは蝶形骨の骨化障害により生じる外側頭蓋咽頭管の遺残であり,蝶形骨洞の側方への伸展により中頭蓋と蝶形骨洞の交通が完成するため,成人においてSternberg’s canal型の髄膜脳瘤が発症する。症例は53歳男性,主訴は左漿液性鼻漏,繰り返す発熱と頭痛であった。近医耳鼻咽喉科に慢性副鼻腔炎として保存的治療を継続していた。漿液性鼻漏の改善がなく左眼痛が出現し,CT・MRIで左蝶形骨洞側窩に髄膜脳瘤の存在が疑われたため当科に紹介となった。画像所見に加え漿液性鼻漏のグルコースが高値であったことから,Sternberg’s canal型の髄膜脳瘤とそれに伴う鼻性髄液漏と診断し経鼻内視鏡下に髄膜脳瘤切除と頭蓋底再建を施行した。本症例では慢性副鼻腔炎の合併に加え,上顎神経が蝶形骨洞側窩の底部を走行していたことや上顎洞後壁が骨肥厚していたため,術前に手術アプローチの慎重な検討が必要であった。術後経過は良好で2年3ヶ月が経過するが再発の兆候は認められない。</p>

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参考文献 (12)*注記

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