症候性子宮筋腫に対するマイクロスフィアを用いた子宮動脈塞栓術の安全性と有効性

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タイトル別名
  • Uterine artery embolization (UAE) for symptomatic uterine fibroids using microspheres as a safe and effective therapy
  • ショウコウセイ シキュウ キンシュ ニ タイスル マイクロスフィア オ モチイタ シキュウ ドウミャク ソクセンジュツ ノ アンゼンセイ ト ユウコウセイ

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抄録

<p>症候性子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization;以下UAE)は,手術的治療の代替として確立しつつある.2014年12月~2019年6月に当院で症候性子宮筋腫に対して,マイクロスフィアを用いてUAEを行った71例73回の診療録を後方視的に解析した.合併症の有無や副作用の程度から安全性を検討し,UAE後の筋腫縮小率や自覚症状の改善度から有効性について評価した.また,ゼラチンスポンジを用いたUAE13例13回とも比較検討した.マイクロスフィアを用いたUAEは放射線科医師により実施され,手技的成功率は100%であった.患者年齢中央値は45(43-48)歳,合併症は塞栓後症候群が73例(100%)と最多であった.子宮内感染や壊死筋腫分娩,子宮壊死や血栓症,他臓器障害といった重症合併症は認めなかった.術後疼痛はゼラチンスポンジ使用時よりも軽度であり周術期の疼痛コントロールが容易であった.UAE施行1カ月後,3カ月後,6カ月後,1年後の主子宮筋腫体積比は,おのおの75%,58%,50%,45%であった.縮小率は,ゼラチンスポンジ使用例と比べて同等であった.筋腫の再増大は5例に認められ,2例は再治療としてUAEを実施し,3例は症状がないため経過観察している.また,UAE施行3カ月後の自覚症状の改善は,腹部膨満感89%,月経困難80%,月経過多91%に認められた.症候性子宮筋腫に対するマイクロスフィアを用いたUAEは,子宮温存を望む挙児希望のない女性にとって,子宮摘出術の代替として安全で有効な治療法と考えられる.〔産婦の進歩72(2):67-75,2020(令和2年5月)〕</p>

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