当院で子宮頸部上皮内腫瘍(CIN2)と判断・管理した症例の臨床的検討

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タイトル別名
  • Clinical outcomes of cervical intraepithelial neoplasia grade 2 in our hospital
  • トウ イン デ シキュウ ケイブ ジョウヒ ナイ シュヨウ(CIN2)ト ハンダン ・ カンリ シタ ショウレイ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

<p>CIN2症例の転帰を評価するため,われわれは当院で過去15年間に管理したCIN2症例58例について病変の自然消退率,進展率,円錐切除術の結果を後方視的に検討した.調査の過程で,当院ではCIN2とCIN1,またはCIN3との境界的診断症例(CIN1-2;36例,CIN2-3;47例)が存在し,合わせて検討した.CIN1-2,CIN2-3とは,生検の段階で確定が難しい場合に暫定的に定義した当院独自の診断用語である.通院中断症例を除く症例数と年齢分布は,それぞれCIN1-2(32例:20~60歳;中央値36.5歳),CIN2(50例:14~63歳;中央値35歳),CIN2-3(43例:20~61歳;中央値37歳)であった.消退率は,CIN1-2:63%(2~55カ月;中央値7.5カ月),CIN2:64%(2~30カ月;中央値6カ月)であった.30歳未満では,消退率はCIN1-2:89%(8/9),CIN2:75%(9/12)であった.進展率と進展までの期間は,それぞれCIN1-2:16%(3~43カ月;中央値7カ月),CIN2:16%(7~60カ月;中央値16カ月),CIN2-3:12%(3~74カ月:16カ月)であった.CIN2-3は84%(36/43)で円錐切除術が施行されていた.円錐切除術後の最終的な病理診断でCIN3は78%(28/36)であった.通院中断患者からそれぞれ1名ずつ計3名の浸潤癌症例を認めた.CIN2は,約60%の症例で自然に消退していた.2014年にWHO分類でCIN2とCIN3を同じHSILに分類する,SIL分類が採用されたことで,将来本邦でもCIN2症例の円錐切除術の機会が増える可能性があるが,従来どおりCIN2とCIN3を区別することは過剰治療を避けるために意義があると思われる.〔産婦の進歩72(3):205-210,2020(令和2年8月)〕</p>

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