性決定因子<i>Doublesex1</i>の発現を司る<i>Vrille</i>遺伝子上流のE-box/E-box様配列を介したオオミジンコ幼若ホルモン受容体リガンド検出酵母株の樹立
書誌事項
- タイトル別名
-
- Establishment of reporter assay yeast strain for detecting ligands of <i>Daphnia magna</i> juvenile hormone receptor <i>via</i> upstream E-box and E-box-like elements of the <i>Vrille</i> gene
抄録
<p> ミジンコ類は通常、メスのみで単為発生を行なうが、餌不足・低酸素などの生存環境の悪化によりオス仔虫が出現し、単為発生から有性生殖へ移行して耐久卵を産生する。オス仔虫産生に先立って幼若ホルモン (JH) 合成が誘導されること、JH/JH様物質への曝露でもオス仔虫が出現することから、ミジンコ類ではJHは性決定に関与すると考えられている。JH と結合したJH受容体Methoprene-tolerant (Met) は、標的遺伝子上流のJH応答配列 (JHRE) 上で転写共役因子SRCと複合体を形成し、転写を誘導する。昆虫類では変態抑制遺伝子Krüppel homolog 1 (Kr-h1) が共通のMetの標的であり、その上流域にはJHREのコンセンサス配列が存在する。オオミジンコDaphnia magna のVrille (Vri) 遺伝子はbasic region leucine zipper (bZIP) 型転写因子をコードしており、JHシグナルの下流でオス化に必須の性決定因子Doublesex1 (Dsx1) の転写活性化を担う。しかし、Metの標的遺伝子やJHREは未だ同定されていない。</p><p>私たちはこれまでに、酵母レポーターアッセイ法でカイコのKr-h1 JHREを介したオオミジンコDaphnia magna Metのリガンド応答が検出可能であることを示した。本研究では、Vri遺伝子上流域のE-box/E-box様配列を含む領域が、酵母細胞内でD. magna MetのJHREとして機能することを見出した。また、メス個体をファルネセン酸メチルで処理し、卵巣内の卵のVriとDsx1 のmRNAの発現量変化を経時的に定量的PCR法で測定したところ、VriがJH早期応答遺伝子であることが示された。これらの結果はVriがオオミジンコMetの標的遺伝子であることを示唆している。また、酵母レポーターアッセイ法はオオミジンコ個体を用いずにMetのリガンド物質を簡便かつ短時間で検出可能なバイオアッセイ法であり、環境中に存在するオオミジンコに対するJH様物質検出における一次クリーニング系として利用できる。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 47.1 (0), O-5-, 2020
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390004222614763776
-
- NII論文ID
- 130007898237
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可