西郷文芸学「相変移」論の成立過程

  • 髙橋 茉由
    広島大学附属東雲小学校,広島大学大学院・院生

書誌事項

タイトル別名
  • The Process of Formation of Saigo Literary Studies’“Phase Transition” Theory
  • サイゴウ ブンゲイガク 「 ソウ ヘンイ 」 ロン ノ セイリツ カテイ

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抄録

<p>本稿では,西郷文芸学「相変移」論の成立過程を明らかにした。その際,西郷の論文をもとに3つの概念を特定した上で,西郷の講演内容を山中吾郎が記録したノートをもとに,3つの概念の誕生過程を捉えた。結果として,西郷は,①西郷文芸学の外部の概念を用いて表現形式の関係を明らかにし,「関係認識」論を基に「視点と対象(主観と客観)」の認識関係によって人物を配置したこと,②作品内のイメージの重なりに注目し,「複合形象」という概念をつくり「複合形象」の性質を説明したこと,③読者の「共体験」によって「複合形象」が生じることを関連づけて説明した後に,作り手の創作体験が物理学の「相の転移」と類似していることを見付け,「相変移」という概念をつくったことが明らかになった。「相変移」論は,西郷文芸学「共体験」論を拡張させ,課題を乗り越えた理論であった。</p>

収録刊行物

  • 国語科教育

    国語科教育 89 (0), 21-29, 2021-03-30

    全国大学国語教育学会

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