母親の喫煙習慣と歯科保健行動および子どもの口腔状態との関連性

DOI オープンアクセス
  • 渡辺 美南
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野
  • 坂本 治美
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野
  • 福井 誠
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野
  • 吉岡 昌美
    徳島文理大学保健福祉学部口腔保健学科
  • 日野出 大輔
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔保健衛生学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between smoking habits of mothers and dental health behavior or the oral health condition of their children

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説明

要 旨<br>  小児の受動喫煙とう蝕罹患との関連性が報告されている。また、喫煙習慣を持つ母親は自身や子どもに対する歯科健康意識が低いと推察される。そこで本研究では、母親の喫煙習慣と歯科保健行動および子どもの口腔状態との関連性を分析し、乳歯う蝕罹患に関わる因子を明らかにすることを目的とした。<br>  徳島県 N 市にて実施した 1 歳 6 か月児健康診査および 3 歳児健康診査を両方受診した母子を対象とした。調査対象児165 名の母親を、非喫煙者(152 名)と喫煙者(13 名)の 2 群に分け、3 歳児の歯科健診結果および母親からのアンケート調査結果を突合して分析した。<br>  乳歯う蝕罹患率は喫煙者群では 46.2%で、非喫煙者群の 21.1%と比較して有意にう蝕罹患の割合が高かった(p < 0.05)。アンケート調査項目の母親の現在の定期歯科健診において、「受診なし」の者の割合が喫煙者群では 76.9%、非喫煙者群では 46.1%で、2 群間に有意な差が認められた(p < 0.05)。妊婦中の歯科健診の項目において、喫煙者群の「受診なし」の者の割合は 76.9%、非喫煙者群では 43.7%で有意な差が認められた(p < 0.05)。また、喫煙者群では非喫煙者群に比べて、母親の年齢において若年層の割合が有意に高く、母親以外の家族の喫煙習慣ありの割合も高かった(各々p < 0.01,p < 0.05)。さらに、3 歳児のう蝕経験の有無を目的変数として二項ロジスティック回帰分析を行った結果、「清掃状態」(オッズ比: 2.92,p < 0.05)、「間食時間の決定」(オッズ比: 3.99,p < 0.01)、「母親の喫煙習慣」(オッズ比: 4.13,p < 0.05)において有意な関連が認められた。<br>  以上の結果より、喫煙習慣を有する母親は、年齢が低い者の割合が高く、他の家族の喫煙率も高く、そして、妊娠期および現在も歯科健診受診の割合が低いことが示された。また、母親の喫煙習慣が 3 歳児の乳歯う蝕罹患に関連することが示唆された。

収録刊行物

  • 禁煙科学

    禁煙科学 vol.14 (10), 2-7, 2020

    日本禁煙科学会

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