アセフェートの発生-発達期慢性ばく露による成熟後のマウス行動影響と腸内細菌叢の解析

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タイトル別名
  • Early life exposure to acephate exerts the neurobehavior and gut microbiota in adult mice

抄録

<p>【目的】有機リン系殺虫剤であるアセフェート(Ace)は、アセチルコリンエステラーゼの働きを阻害することによって殺虫効果を示すが、環境化学物質として哺乳類に対しても神経毒性を発揮することが報告されている。しかし、低用量のAceを用い、発生-発達期をばく露対象として成熟後の行動影響を捉えたものは少ない。また、腸内細菌叢と脳機能の関連が近年注目を集めており、これを神経毒性発現における指標の一つとして用いることが可能と考えられる。そこで本研究では、ADIレベルの用量をふまえたAceの発生-発達期慢性ばく露を行い、成熟後の行動影響と腸内細菌叢の変動を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】次世代個体へ胎盤および乳を介したばく露を行うため、C57BL/6N妊娠雌マウスに対してAceを飲水投与した。投与期間は胎生11日から産仔が生後2週齢になるまでとした。Aceばく露群はADIとして定められている用量(0.03 mg/kg)と同レベルの低用量群(0.3 ppm)の他に、中用量群(10 ppm)、高用量群(300 ppm)を設定し、コントロール群には水道水を飲水投与した。産仔は生後4週齢で離乳し、その後、12週齢時の雌雄に対して行動試験を実施した。また、行動試験後に解剖して摘出した直腸から糞便を採取し、16S rRNAを指標とした菌叢解析を行った。</p><p>【結果・考察】行動試験の結果、雄のばく露群では、学習記憶異常の質的違いが用量ごとに存在し、ADIレベルの用量であっても行動異常を惹起することが明らかとなった。一方、雌のばく露群では有意な差はみられなかったものの、雄とは異なる行動傾向が示された。以上より、Aceの発生-発達期ばく露による成熟後の行動影響には、明確な性差の存在が確認された。また、菌叢解析の結果、Aceばく露群では菌叢の多様性の低下や細菌叢組成の違いがみられ、細菌叢のかく乱が生じていることが示唆された。腸内細菌叢の性差および行動様式との関連性については現在検討中である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390007536268256768
  • NII論文ID
    130008073586
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-107s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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