アトピー性皮膚炎の酸化ストレス度と抗酸化力に対する鍼治療の影響

  • 林 侑里
    森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of acupuncture on oxidative stress level and antioxidant capacity in atopic dermatitis
  • アトピーセイ ヒフエン ノ サンカ ストレスド ト コウサンカリョク ニ タイスル シンチリョウ ノ エイキョウ

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抄録

【目的】鍼灸治療の基礎研究にて酸化ストレス度や抗酸化力に対する鍼治療の影響が報告されている。しかし、アトピー性皮膚炎の鍼灸治療の評価に酸化ストレス度・抗酸化力を用いて検討した報告は無い。本研究では健常成人とアトピー性皮膚炎における酸化ストレス度・抗酸化力の違いを比較し、アトピー性皮膚炎に対する鍼治療の影響について酸化ストレス度・抗酸化力を指標に用い検討した。 【方法】同意を得た森ノ宮医療大学学生を対象にアトピー性皮膚炎患者5名と健康成人5名に行った。研究1はアトピー性皮膚炎患者と健康成人の酸化ストレス度と抗酸化力の比較を行った。研究2は鍼治療効果について一事例条件反転法ABABA法を用いて行った。A:無治療期間、B:鍼治療期間とし各10週実施した。評価は酸化ストレス度 (d-ROMs)、抗酸化力 (BAP・OXY-absorbent)、皮膚の水分量と掻痒感の程度とした。鍼治療は40 mm ・16号、ステンレス製ディスポーザブル鍼を用い、左右の尺沢・三陰交・足三里と補助穴 (2穴) に置鍼術 (10分) を行った。 【結果】アトピー性皮膚炎患者は健康成人に比べ酸化ストレス度は増加しており 「ボーダライン域」 の状態であった。一方、抗酸化力は不足している状態であった。アトピー性皮膚炎患者に鍼治療を行うことにより酸化ストレス度は有意に低下し、正常値になった。一方、抗酸化力においては、鍼治療期間だけでなく無治療期間においても増加を認めた。皮膚水分量、痒みの程度には変化が無かった。 【考察・結語】アトピー性皮膚炎患者は酸化ストレス度が増加し、抗酸化力が不足している状態であったが、鍼治療を繰り返し行うことにより酸化ストレス度は正常値になった。一方、抗酸化力は鍼治療以外の要因も加わった可能性があり、鍼治療のみの効果を確かめることが出来なかった。鍼治療により皮膚水分量が変化しなかったため、痒みが軽減しなかった。

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参考文献 (3)*注記

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