書誌事項
- タイトル別名
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- Issues regarding the policies of the Japanese government for promoting active participation by women
- ジョセイ カツヤク スイシン シサク ノ ナイヨウ ト ショ トクチョウ : ナイカクフ,ケイザイ サンギョウショウ,コウセイ ロウドウショウ ノ シサク オ タイショウ ニ
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抄録
2012年秋,男女平等の推進を日本に迫る世界的報告書が相次いで発表された。一つは世界経済フォーラムの『世界男女格差レポート(The Global Gender Gap Report 2012)』である。同報告書は社会の主要4分野(経済,教育,健康医療,政治)での男女格差縮小の取り組みをもとに各国を順位付けしている。日本はOECD加盟国の中では非常に低い101位(135カ国中)であり,「経済的平等」と「政治参加」が順位を下げる要因となっている。もう一つはIMFの報告書『女性は日本を救えるか?(Can Women Save Japan?)』である。少子高齢化が進み,日本経済の潜在的な成長力が低下し続ける現状を示し,この傾向を緩やかにするカギは女性の労働参加の拡大であると指摘する。そして日本に対して,第一に昇進ルートに乗る女性を増やす政策の検討,第二に働く母親のためのより良いサポートの提供を求めている。これらの報告書からは,世界第三位の経済大国である日本が主として政治・経済領域での男女平等で大きく見劣りし,将来の労働力不足に対して有効な手段を打ち出せずにいることへの苛立ちが見て取れる。こうした状況のもと,2012年12月に安倍内閣が成立すると,政府は日本の経済成長に重点をおく方針を掲げ,その中核に女性の活躍推進をおいた。すなわち日本経済の「新たな成長戦略」をまとめた『日本再興戦略――JAPAN is BACK』において,雇用制度改革・人材力の強化,なかでも女性の活躍推進を重視した。そして役員や管理職への女性の登用拡大,男女がともに仕事と子育て等を両立できる環境整備などを目的に,女性役員の登用状況の開示,仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業へのインセンティブ付与,待機児童解消に向けた保育施策の整備などを打ち出した。この政府施策は,経済成長の観点から女性の役員・管理職への登用を求め,企業の経営戦略の一角である雇用管理に変革を促している点に特徴がある。これを受け,各省庁は従来からの取り組みの発展と新たな施策の発表を次々と行っている。以上を踏まえ,本稿は政府の女性活躍推進施策について,主として企業組織での女性の登用および能力発揮に関する施策を取り上げ,その特徴を整理し具体化に際する諸問題について考察することを課題とする。
収録刊行物
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- 北海道大学大学院教育学研究院紀要
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北海道大学大学院教育学研究院紀要 121 17-36, 2014-12-26
北海道大学大学院教育学研究院
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390009224793573120
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- NII論文ID
- 120005522308
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- NII書誌ID
- AA12219452
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- HANDLE
- 2115/57606
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- NDL書誌ID
- 026007037
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- ISSN
- 18821669
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可