制御焦点が間接互恵行為に与える影響 : 価値・コストの認知的評価の弁別に着目した検討

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タイトル別名
  • The effect of regulatory focus on indirect reciprocity : Mediation effects of gratitude and indebtedness
  • セイギョ ショウテン ガ カンセツ ゴケイ コウイ ニ アタエル エイキョウ カチ コスト ノ ニンチテキ ヒョウカ ノ ベンベツ ニ チャクモク シタ ケントウ

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説明

原著

他者から受けた恩を別の第三者に返報する間接互恵行為は、親切行為の受け手の感謝によって促進され、負債感によって抑制される。これまでの研究では、向社会的行動の価値・コストといった状況的な要因が、感情の喚起を通じて間接互恵行為に与える影響を検討してきたが、受け手の要因に着目した検討はなかった。本研究は、受け手の制御焦点が、向社会的行動の価値またはコストに対する焦点化を促し、感謝や負債感といった感情を喚起する結果として、間接互恵行為に与える影響について検討した。大学生を対象とした質問紙実験の結果、制御焦点の操作は、価値・コストの認知的評価、感謝・負債感の感情、間接互恵行為のいずれの指標に対しても影響を与えておらず、仮説は支持されなかった。一方で、従来の研究で観測されていた価値・コストの認知的評価間の強い関連が、参加者の制御焦点を操作した条件においては確認されなかったことから、感謝または負債感の感情を選択的に喚起させる受け手の要因として、制御焦点の操作が寄与する可能性が明らかとなった。

収録刊行物

  • 対人社会心理学研究

    対人社会心理学研究 17 1-6, 2017

    大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室

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