救急患者の家族のニーズとニーズに対する看護実践度の比較

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  • A Comparison between Needs of Family Members and Nursing Careof Nurse Practitioners to the Needs in the Emergency Department
  • キュウキュウ カンジャ ノ カゾク ノ ニーズ ト ニーズ ニ タイスル カンゴ ジッセンド ノ ヒカク

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抄録

救急患者家族のニーズとニーズに対する看護実践度の実態を明らかにすることを目的とし, 救急外来/救命救急センター勤務している看護師を対象とした郵送法による自記式質問紙調査 を実施した。調査内容は2000 年,2001 年に調査した救急患者の家族のニーズに対応させて, 説明に関する項目,家族の心理的側面・身体的側面への配慮に関する項目,設備・環境に関 する項目,待ち時間や医療従事者の行動に関する項目など20 項目を設定した。 調査対象は救急看護師333 名であり,男性11 名,女性322 名,平均年齢は32.8 ± 7.9 歳であっ た。救急患者の家族のニーズに対する看護実践度を比較した結果,「説明に関する項目」が最 も看護実践度が高く,家族のニーズと一致していた。しかし,救急患者の家族のニーズとそ の看護実践度は必ずしも一致せず,家族の高いニーズに対して看護実践度が低かったのは「最 善のケアが行われていると感じることができる」や「患者の生命の危機に関する不安の相談」 であった。逆に家族のニーズの順位は低かった「家族の不安やつらい思いを聞いてもらえる」 「家族の疲労や健康への配慮」の実践度は比較的高かった。今後,施設や部門の取り組みを通 して看護師自身の行動や看護実践をフィードバックすることによって,家族援助の質の向上 につなぐ必要性が示唆された。 Ⅰ.はじめに 急性疾患対応型の救急外来や救命救急センター における患者や家族への対応は,その病院全体の 評価を左右するともいわれている1)。しかし,初 期救急患者を診療する一方で,重症患者が搬入さ れるなど待ち時間が延長し,患者および家族の不 安や苦痛も増強するといった悪循環に陥ることも 多くみられる2-4)ことから,その援助の困難性が 指摘されている。そのため,患者のニーズ5),満 足度の調査6-8)や患者や家族に対する対応の検討 および改善の試み2)がなされてきた。 救急外来における満足度には,情報提供,待ち 時間あるいは待ち時間の説明などが影響すること8) が明らかにされ,またそれらが満足度だけでなく 救急外来受診時の不安にも影響を及ぼすことも報 告されている4)。さらに救急外来では,受診する 患者だけでなく家族の不安も強い9)10)。筆者らは 先行研究で救急外来を受診した患者の家族の不安 やニーズに関する研究を行い,患者の突然の予期 せぬ傷病が家族にも多大な心理的影響を与えてい ることを明らかにしてきた。 その上,救急患者や家族の多くは緊急度という 判断ができないため,とにかく診てもらいたいと 受診あるいは患者の付き添いとして来院すること が多い。そのため,特に待合室で患者を待つ家族 にとっては,患者の病状や主訴により不

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