アレルゲン自動計測用免疫センサーシステムの開発

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  • 樋口 元信
    九州大学大学院生物資源環境科学研究科生物機能科学専攻食品バイオ工学講座
  • 桑野 貴久
    九州大学大学院生物資源環境科学研究科生物機能科学専攻食品バイオ工学講座
  • 松本 清
    九州大学大学院生物資源環境科学研究科生物機能科学専攻食品バイオ工学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Automatic Immunosensor System for Quantification of Allergens
  • アレルゲン ジドウ ケイソクヨウ メンエキ センサー システム ノ カイハツ

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抄録

グラッシーカーボンを固相として用い,表面を電気化学的に再生するフロー型免疫センサーシステムを構築し,モデル系(ラットIgG/抗ラットIgG) においてそのセンサーの有効'性について検討を行った.その結果,ラットIgG濃度と酵素活性の間に良好な相関関係が得られ,本センサーが抗原/抗体測定用センサーとして有効であることが示された.また,酵素活性測定法についてもペルオキシダーゼ/ABTS吸光光度法とアルカリフォスファターゼ/4-メチルウンベリフェリルリン酸蛍光法の比較を行い,蛍光法がより高感度であることを確認した.電気化学的再生法は, 1.6M硝酸溶液中で60秒間+2.0Vの電圧を印加することにより達成され,電極を磨きなおした時と同様な再生能力を有しており,再現性も高かった.モデル系の結果をもとに自動化型免疫センサーシステムを構築し,アレルゲンとして卵白の主要アレルゲンであるオボアルブミン(OVA),同じく卵白に含まれアレルゲン性はOVAよりも強いオボムコイド(OVM),牛乳中に含まれ強いアレルゲン性を持つβ-ラクトグロプリン(β-LG)の測定を試みた.センサーの自動化は,バルブの切り替え,電磁弁,ポンプ,電圧印加,記録計のON/OFFをシステムコントローラー,サブコントローラーのタイムプログラムにより制御することにより行った.初めに,この自動化されたセンサーによりOVAの蛍光測定を試みた.その結果,蛍光法はOVA濃度1.0ng/ml~1000μg/mlの聞で応答値との間に良好な直線関係が得られ,繰り返し測定による変動係数は4.3% (n=10)であった. β-LG,OVMについても自動化センサーにより測定を行った結果,前者は10μg/ml~1000μg/ml,後者は1.0μg/ml~1000μg/mlの範囲で応答値との聞に良好な相関関係が得られた.しかしながらこれらの測定におけるバックグラウンド値が高くOVAほど高感度には測定できなかった.これは,抗体の特異性が低いため非特異的吸着,結合が起きているためと推察された.また,基質自体も自然分解により測定に影響を及ぼすほど蛍光を発する場合もあるので,抗体の検討と併せて基質の更なる検討も必要であると考えられる.本研究は, (財)食品産業センター食品安全性向上技術開発事業の支援によるものであり,記して謝意を表する.

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