<論説>多肥集約化と小農民経営の自立 (上)

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タイトル別名
  • <Articles>Poly-manure Intensification and Independence of Petty-peasants' Management(1)
  • 多肥集約化と小農民経営の自立-上-
  • タヒシュウヤクカ ト ショウノウミン ケイエイ ノ ジリツ ジョウ

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抄録

近世中期の加賀藩領における米作農業について、生産力発展の様相を具体的に明らかにし、それが当時に一般的に成立した小農民経営様式に相応したものであり、その基底部となって関連していることを指摘する。生産畜力の変化を、さしあたり男女労働力と耕作馬数、肥料と農具の種類、稲と収獲量、耕作方法とその体系、農業生産性などから検討すると、多肥集約化の方向へ発展していることがわかる。この生産力発展はまた、農村における商品生産・貨幣経済の一定度の発達、農村労働力の流動・形態変化と関連している。小農民経営はこのような諸発展を前提としてはじめて一般的に自立しえたと考えられるが、しかしそれは直ちに新しい農民層分解の中へ追いやられる。このような農業上の大きな変化と、その基底にあった多肥集約化の発展との歴史的意義は大きいと思われる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 50 (1), 1-36, 1967-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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