<論説>春秋公羊学の歴史哲学―何休『春秋公羊経伝解詁』の立場

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タイトル別名
  • <Articles>Philosophy of History in Ch'un-ch'iu-kung-yang-hsueh 春秋公羊學 : Standpoint of Ho-hsiu's "Ch'un-ch'iu-kung-yang-ching-ch'uan-chieh-ku" 何休「春秋公羊經傳解詁」

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説明

春秋三伝 (左氏・公羊・穀梁) の中、後漢末の学者何休によって完成された公羊伝の注釈 (『春秋公羊経伝解詁』) には、一見、春秋時代の歴史事実とは全く逆の、衰乱・升平•太平へと社会・文化の進む歴史哲学が述べられている。この歴史哲学は清朝中期以降の学者の注意を引いたが、中でも康有為は西欧的進化論的思想の影響の下に、これを三段階発展を説く歴史哲学と解釈し、変法自彊運動の理論的古典的根拠としてこれを用いたのである。しかし実証的に検討してみると、この何休の歴史哲学は決してそのような直線的三段階的発展を説くものではなく、陰陽五行説の範疇の中での発展を説くものにすぎない。要するにこの歴史哲学は漢朝の絶対性を説く頌漢思想の系列に属するイデオロギー的観念的循環論とでも規定すべきものである。後漢末には当時の荒廃した歴史的現実を反映して漢朝衰亡論や衰退史観が現われたが、同じ時期にそれと全く立場を異にする歴史哲学が出現したことは興味深いことといわなければならないであろう。

収録刊行物

  • 史林

    史林 50 (3), 382-427, 1967-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009224848797824
  • NII論文ID
    120006818653
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_50_382
  • HANDLE
    2433/249935
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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