在日コリアン一世の指示詞の運用

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タイトル別名
  • Demonstrative Performance by First-generation Koreans in Japan
  • ザイニチ コリアン 1セイ ノ シジシ ノ ウンヨウ

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抄録

本研究は在日コリアン一世(以下、一世とする)を研究対象とし、その日本語の運用を記述することを目的とするものである。一世の日本語は、音韻・語彙・語法など多方面にわたって独特な使用が見られ、中間言語や言語接触などといった分野から研究されてきた。一世の独特な日本語は、彼らが長い間にわたって経験してきた複雑な歴史的・社会的背景の中で、明示的な形での教育を介さない、自然習得されたものであり、今は日常生活を営むための手段として定着している。 このような一世の日本語を記述する一つの試みとして、本稿は指示詞の運用の実態を明らかにしようとするものである。今回のインフォーマントとなる一世はY、P、Bの三人である。三人の指示詞を分析した結果からは、次のような傾向が見られた。まず、いわゆる〈定型表現〉が確認された。また、ア系指示詞の使用には何らかの心的距離が関わる可能性が推測できる。最後に、ソ系指示詞とア系指示詞の使用領域における境界線が曖昧であった。その原因については母語からの転移という可能性の他に、より詳細な調査分析が必要とされる。

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