Vitamin D代謝酵素のヒト組織における発現とその個体差
書誌事項
- タイトル別名
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- Expression of Vitamin D metabolizing enzymes in human tissues and its individual difference
抄録
<p>【目的】Vitamin Dは、代謝活性体である1α, 25-dihydroxy vitamin D3が核内受容体VDR(Vitamin D Receptor)を介して、細胞分化、カルシウム代謝、免疫機能などにおいて多彩な生理作用を制御している。喘息の病態においては喘息の発症や治療薬に対する反応性など、喘息増悪のリスクにVitamin Dが重要な役割を果たすことが示唆されている。また、COVID-19の重症度に関与することも報告されている。そこで本研究では、Vitamin Dの代謝酵素(CYP2R1、CYP3A4、CYP3A5、CYP24A1、CYP27A1、CYP27B1)ならびにVitamin D受容体(VDR)の気管ならびに肺を含むヒト組織中での発現レベルとその個体差について検討した。</p><p>【方法】正常ヒト気管、肺、肝臓、腎臓、小腸、精巣組織由来total RNAをBioChain社より購入した。Vitamin D代謝酵素及びVDRのmRNA発現量を標的遺伝子検出用FAM標識TaqMan MGB Probeと内在性コントロール遺伝子(β-actin:ACTB)検出用VIC標識TaqMan MGB Probeを用いるduplex real-time RT-PCR法により定量し、比較Ct法により評価した。</p><p>【結果】気管および肺組織におけるVDRの発現レベルは肝臓および腎臓に次いで高く、特に気管における発現レベルに顕著な個体差が認められた。また、Vitamin Dの代謝酵素においても各組織で顕著な個体差が認められた。Vitamin Dは喘息やCOVID-19の発症や重症化における個体差のみならず、VDRを標的とする代謝性疾患及び悪性腫瘍の個別治療において、これら因子の発現レベルがその効果に影響を及ぼす可能性が考えられる。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), P-208-, 2022
日本毒性学会