【総説:応用糖質科学シンポジウム】L-グルコースの臨床医療への応用に向けて

  • 山田 勝也
    弘前大学大学院医学研究科・分子輸送学講座

書誌事項

タイトル別名
  • [Review] Towards Clinical Application of L-Glucose

抄録

<p>D-グルコースに蛍光基NBDを結合した2-NBDGは,D-グルコースの細胞内への取り込みの可視化に広く使用されている.私達は,哺乳動物細胞内に2-NBDGがグルコーストランスポーターを介して取り込まれることやその詳細を示し,次いで2-NBDGの陰性対照化合物としてL-グルコースにNBDを結合した分子2-NBDLGを開発した.2-NBDLGは通常細胞には取り込まれなかったが,マウス膵臓腫瘍細胞やヒト骨肉腫細胞,種々のがん患者から採取直後の悪性の腫瘍細胞や組織に取り込まれた.この取り込みはD/L-グルコースによる競合阻害を受けず,2-NBDGと2-NBDLGの両者を等しく輸送可能で,Phloretinにより阻害される特異的な取り込みであった.蛍光基をNBDからCoumarinに変更したCLGも2-NBDLGと似た輸送特性を示し,いずれもミトコンドリア膜電位の低下した腫瘍細胞に強く取り込まれ,鍵はL-グルコースにあるとわかってきた.更にCLGは腫瘍細胞内に取り込まれた後,核に取り込まれたため,L-グルコースががん特異的な治療薬の輸送にも役立つ可能性が出てきた.</p>

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参考文献 (107)*注記

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