小豆餡の嗜好性と水分および糖度との関係

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タイトル別名
  • Relationship between consumer preferences and the water/sugar content of sweet bean paste products

抄録

<p>市販小豆餡5種類について, 水分, 糖度, 物性の測定および官能評価を検討したところ, 市販餡にみられる水分条件下 (水分35〜50%) において, 餡の水分が高い試料ほど, 餡のテクスチャー測定における硬さの値が大きくなり, 甘さが低下する傾向がみられた. 餡のテクスチャーによって甘さの感じ方が異なることから, 餡の水分に応じた砂糖の添加量を検討する必要があると考えられた. 一方, 一般的には水分が高くなると, 餡粒子が分散されることにより, 流動性が増し, 硬さが柔らかくなることが予想されるが, 今回の市販餡を使用した試験では, 逆の傾向を示した. そこで, 同一原材料を使用して, 水分または糖度を調整した餡を調製して, 市販餡と同様な試験を検討したところ, 餡の水分が高くなるほど, 餡の硬さが柔らかくなり, 舌触りに有意差は認められないものの, 口溶けが良くなった. また, 水分40%に揃えて, 糖度を高くすると, 硬さは柔らかくなり, 舌触りが滑らかで, 口溶けが良い餡となることがわかった. 嗜好的品質が良好であった水分40%および糖度40%の餡が和菓子やパンの中に入れる餡として, 適度な硬さと口溶け感, 滑らかな舌触りと適度な甘さを示すことがわかった. 餡の「硬さ」は, 餡の口溶け感や舌触り, そして感じる甘さにも関わる重要な嗜好性因子である. 餡の嗜好性に及ぼす餡の水分と糖度の関係について, 本研究でその一端を明らかにできたが, 市販餡に見られたように, 水分の高い餡が硬いテクスチャーを示す場合もあった. 餡の硬さは, 餡の粒子形態に大きく依存することが予想され, 今後は餡の製造方法や副原料の影響を検討し, 餡粒子の形態と餡の物性ならびに嗜好性との関係を詳細に調べていくことが課題である.</p>

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