植民地間に共通する「国語」教科書民話教材――朝鮮・満洲・南洋群島の「水中の玉」――

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書誌事項

タイトル別名
  • Folktales in “Japanese” Textbooks Common to the Colonies: “Jade in the Water” (<i>Suichu no Tama</i>) in Colonial Korea, Manchuria, and Micronesia

抄録

<p>本稿では、朝鮮・満洲・南洋群島で使用された植民地教科書に共通して採録された民話「水中の玉」の教材群に焦点を当て、採録状況を整理し、本文や挿絵の比較を行った。その結果、①「水中の玉」教材群は、朝鮮で使用されたものが発端となり各植民地で使用されていったこと、②相対的に、満洲では五族協和を想起させる「五色」という表現や「神様」の設定の強調や、「家」という概念の描かれ方の希薄化などがなされていたこと、③相対的に、南洋群島では登場人物の暮らしの貧困さの強い強調、自然・人の心の美しさの強調、そして兄弟愛の強調がなされていたことを指摘した。また挿絵については、朝鮮や満洲では韓服を着用した兄弟が描かれているが、南洋群島では日本の着物とおぼしきものを着ていることから、南洋群島においては、日本への同化の意図が強く窺えた。</p><p>これらのように、「水中の玉」教材群は、各植民地での状況や、日本の植民地に対する姿勢などを踏まえ、細やかに本文が改変され、教材となったものであることが示唆された。</p>

収録刊行物

  • 国語科教育

    国語科教育 92 (0), 59-67, 2022-09-30

    全国大学国語教育学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390012468146682496
  • DOI
    10.20555/kokugoka.92.0_59
  • ISSN
    21899533
    02870479
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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