異分野融合が切り拓く脳オルガノイド生物学

  • 小寺 知輝
    名古屋大学 大学院創薬科学研究科 細胞薬効解析学分野
  • 小坂田 文隆
    名古屋大学 大学院創薬科学研究科 細胞薬効解析学分野 名古屋大学 高等研究院 神経情報処理研究チーム 科学技術振興機構 CREST

書誌事項

タイトル別名
  • Interdisciplinary approaches to brain organoid biology

この論文をさがす

説明

<p>胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)は身体を構成するあらゆる細胞種へと分化できる多能性を有しているため,再生医療や様々な疾患・発生研究に広く利用されてきた.近年,ES細胞やiPS細胞から生体の様々な組織をin vitroにおいて3次元で再構成するオルガノイド研究が構成論的アプローチとして注目を集めている.オルガノイドは生体内の組織が有する多様な細胞種や組織構築,さらには生体機能の一部を模倣することができるため,より高度なin vitroのモデルとして利用可能である.しかし,その複雑さゆえに従来の幹細胞生物学の解析手法だけでは,オルガノイドの性能を十分に評価することができないという課題にも直面している.近年,幹細胞生物学に加えて様々な研究分野と融合することにより,従来よりもはるかに多様かつ複雑な生命現象をオルガノイドを用いて解き明かすことが可能になりつつある.本稿では主に脳オルガノイドに焦点をあて,機械学習,遺伝子工学,イメージングとの融合研究の代表例を挙げ,そこから得られた知見を紹介したい.また,異分野融合が持つ可能性と今後の展望についても議論する.</p>

収録刊行物

参考文献 (36)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ