10年間の観察からみた体質性黄疸の頻度

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タイトル別名
  • Prevalence of Inherited Jaundice by 10-year Follow Up Study
  • 10ネンカン ノ カンサツ カラ ミタ タイシツセイ オウダン ノ ヒンド

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説明

<p>目的:体質性黄疸のほとんどはGilbert症候群であり,感染,ストレス,低カロリー状態など状況によりビリルビン値は変動する特徴を持っている.それゆえ1回測定のビリルビン値だけで診断することは不正確である.体質性黄疸の頻度を長期観察で検討した報告はない.今回,10年間の観察を行い体質性黄疸と思われる人の程度と頻度を検討した.</p><p>方法:2010年4月1日から2011年3月31日までに高岡健康管理センターで健診を受け総ビリルビンの測定をした肝障害および溶血性貧血のない男性772例,女性1,039例で検討した.2019年3月までの10年間観察し,観察期間中の総ビリルビン値の最小値,最大値,変動幅を求めた.また最大総ビリルビン値1.0mg/dL以下と1.1mg/dL以上の2群にわけて検討した.</p><p>結果:最大総ビリルビン値1.0mg/dL以下の群では,平均総ビリルビン値は男性で0.66±0.13mg/dL,女性で0.65±0.13mg/dLと差を認めなかった.また平均変動幅は男性で0.33±0.19mg/dL,女性で0.24±0.17mg/dLで男性が有意に高値であった(p<0.001).最大総ビリルビン値1.1mg/dL以上群の頻度は,男性42.1%,女性24.5%と男性で女性より有意に高率であった(p<0.001).最大総ビリルビン値1.1mg/dL以上の群では,男性は総ビリルビン値が0.2mg/dLから3.4mg/dLまで幅広く分布し,女性も0.3mg/dLから2.6mg/dLまで幅広く分布したが,男性よりは最大値は低値であった.</p><p>結論:総ビリルビン値の上限基準値を1.0mg/dLとした場合,体質性黄疸と思われる人の頻度は男性42.1%,女性24.5%で,今まで考えられていたよりは頻度は高いと考えられた.</p>

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