ウロリチンAの摂取が花粉症モデルマウスのアレルギー症状に与える影響

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  • Effect of urolithin A on Japanese cedar allergic rhinitis in mice

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抄録

<p>【目的】ウロリチン類はザクロやベリー類に含まれるエラグ酸を摂取した後に血中で検出される成分として知られている.ウロリチン類の一部は肥満細胞株RBL-2H3 を用いた実験系において脱顆粒を抑制することが報告されている.しかし,ウロリチン類のin vivo におけるアレルギー抑制作用は明らかになっていない.そこで本研究では,まずRBL-2H3 細胞における各ウロリチン類の脱顆粒抑制効果の比較を行った.次に,ウロリチンAがスギ花粉アレルギー性鼻炎モデルマウスのアレルギー反応を抑制する可能性を検討した.</p><p>【方法】RBL-2H3 細胞を播種し,dinitrophenyl IgE により感作させた.一次感作の後,ウロリチンA,ウロリチンB,ウロリチンC,ウロリチンD,ウロリチンH,エラグ酸の脱顆粒抑制試験を行った.また,5 週齢のBALB/c 雌性マウス21 匹に一次感作としてスギ花粉抗原を0,7,14 日目に腹腔内に投与した.21 日から39 日目までは二次感作としてスギ花粉抗原を鼻腔内に投与した.27 日目にくしゃみの回数を測定し,コントロール群,ウロリチンA 群,デキサメタゾン(Dex)群の3 群に割り付けた.28 日から39 日目までは二次感作と同時に,コントロール群は10% アラビアゴム溶液,ウロリチンA群は1 mg/ 匹のウロリチンA,Dex群は0.1 mg/ 匹のDex を経口投与した. 39日目にくしゃみの回数を測定し,40日目に解剖を行い,血清中のIgE 濃度(ELISA),鼻洗浄液 (nasal lavage fluid,NALF)における好酸球数(Diff-Quik 染色)の測定を行った.</p><p>【結果】in vitroの実験において,1 µM以上の濃度のウロリチンC,ウロリチンH および10 µM 以上の濃度のウロリチンA,ウロリチンB は,ウロリチンD およびエラグ酸と比較して細胞外へのβ-hexosaminidase の放出を有意に抑制した.in vivoの実験において,ウロリチンA 群はコントロール群と比較して,くしゃみの回数およびNALF中の好酸球数がDex群と同程度まで有意に減少 した.血清IgE 濃度は各群間に有意な差はなかった.</p><p>【考察】エラグ酸摂取後に血中で検出されるウロリチンA は,スギ花粉アレルギー性鼻炎モデルマウスの血清IgE 濃度には影響を与えないが,好酸球の遊走の抑制と脱顆粒の抑制を介して,花粉症によるくしゃみを抑制することが示唆された.</p>

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