日本での生薬「カノコソウ」の利用法および名称に関する史的考察

書誌事項

タイトル別名
  • Historical Study on the Usage and the Name of Crude Drug “Valerian” in Japan
  • ニホン デ ノ ショウヤク 「 カノコソウ 」 ノ リヨウホウ オヨビ メイショウ ニ カンスル シテキ コウサツ

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説明

<p>カノコソウ根はセイヨウカノコソウ根(ワレリアナ根)の代用品として知られているが,日本古来の利用および生薬名の変化については不明な点が多い。本研究では古文献を調査し,それらの利用法ならびに名称の変遷について考察した。</p><p>カノコソウ根は江戸中期には和甘松の名称で民間薬的に利用されていた可能性があった。江戸後期以降,ワレリアナ根の欧州での利用法から,カノコソウ根がヒステリーの特効薬とされたが,漢方の復興時にヒステリーが血の道症に包含され,昭和になってから婦人用保健薬にも配合されるようになった。</p><p>元来,纈草の名称はカノコソウ根を意味していたが,江戸後期に Valeriana officinalis(セイヨウカノコソウ)をカノコソウとして邦訳したことで,纈草=ワレリアナ根の認識が生まれた。昭和初期に,カノコソウ根の生薬名を吉草根と改め,ワレリアナ根と区別し,戦後にカノコソウとカタカナ表記したことが明らかになった。</p>

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