東海北陸地方における小児・思春期血液がん患者のがん・生殖相談外来受診状況に対する多機関共同・後ろ向き観察研究

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  • A multi-institutional retrospective study of children and adolescents with hematological cancer who visited oncofertility clinics in the Tokai and Hokuriku regions

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抄録

<p>2020年8月に東海北陸若手がん・生殖ネットワークが発足し,がん・生殖医療に関する情報共有や啓発活動を行っている.今回,小児・思春期血液がん患者の生殖機能に関する医療連携の現状を調査し,課題の抽出や今後の展望を見出した.</p><p>2013年1月1日~2021年6月30日までに,当ネットワーク参加9施設のがん・生殖医療外来を受診した小児・思春期の血液がん患者(年齢18歳まで)について,後方視的に検討した.</p><p>全症例115例(男性71例,女性44例)で,年齢別では9歳以下が4例,10–12歳が9例,13–15歳が42例,16–18歳が60例であった.精子凍結は希望した66例中13例が完遂できなかったが,その原因は無精子症が大半を占めていた.卵巣組織凍結は希望した17例中16例が完遂でき,がん治療中で造血細胞移植前処置前のタイミングで行われている症例が多かった.また,7例に周術期の輸血を要した.未受精卵子凍結は希望した11例中8例が完遂でき,思春期前(14歳以下)の女児でも完遂例が4例みられた.</p><p>小児・思春期の血液がん患者におけるがん・生殖医療は,若年になるにつれ情報提供・紹介は少なく,妊孕性温存療法を行うにあたっても骨髄抑制などリスクを伴い,その実施には注意を要する.しかし,妊孕性温存療法のニーズやその完遂率は比較的高いため,今後も特に思春期前の小児を中心に患者・医療関係者含め啓発を続けていきたい.</p>

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