日本外傷データバンク(JTDB)の利用の現状と今後のあり方

  • 石井 亘
    京都第二赤十字病院救命救急センター・重症外傷センター救急科
  • 神鳥 研二
    京都第二赤十字病院救命救急センター・重症外傷センター救急科
  • 宮国 道太郎
    京都第二赤十字病院救命救急センター・重症外傷センター救急科
  • 一杉 正仁
    滋賀医科大学社会医学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Status of use in Japan Trauma Data Bank, and future developments
  • ニホン ガイショウ データ バンク(JTDB)ノ リヨウ ノ ゲンジョウ ト コンゴ ノ アリカタ

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抄録

【目的】重症外傷を扱う施設での診療の現状を明らかにし質の向上を図るため、2003年に日本外傷データバンク(Japan Trauma Data Bank;JTDB)の登録が開始された。JTDBの目的は、重症外傷のデータを集積および解析することで、重症外傷を扱う施設での診療の現状を明らかにし、診療の質の向上を図ることにある。本研究の目的は、JTDBの利用状況を確認することで、現状を把握し今後のあり方について検討することである。【対象】2005年1月~2021年8月までにPubMed®に公開されている学術論文および医学中央雑誌、JTDBから公表されている業績文献リストより抽出した。【結果】和文誌への掲載は2021年8月までに35編なされており、英文誌には120編公表されていた。和文誌への掲載は近年減少しているが、英文誌への公表は年々増加していた。検討項目別件数では、損傷形態から検討した論文が52編(43.3%)、患者背景21編(17.5%)と続いた。JTDBを基に予測モデルなどを提起している論文が6編認められた。また、国内外の学術集会による発表は200以上であった。【考察】外傷の予防や重症度低減を考えるうえでは、警察が収集した事故データとJTDBのデータをひもづけできるようなシステム構築が必要と考える。さまざまなデータをリンクさせることで、より詳細な検討ができるとともに、医療系の研究だけでなく工学系の研究や医療経済に関する研究などにも発展すると考えられ、JTDBの利用価値も増加していくと考えられる。

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