「国民学校・国語学習指導系統表」にみる石森延男の国語教育思想――『学習指導要領 国語科編(試案)』(1947年度版)成立前史――

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書誌事項

タイトル別名
  • Nobuo Ishimori’s Language Education Thought: A Study on the Process of Compilation of the Course of Study for Teaching the Japanese Language in 1947

抄録

<p>本稿の目的は、石森延男の国語教育思想を検討し、『学習指導要領 国語科編(試案)』(1947年度版)の成立過程における彼の役割を再考することである。従来の研究をとおして、「国語科編(試案)」の成立過程において石森が十分な成果を残すことができなかったことが明らかにされている。本稿では、石森が作成した国語教育の構想に関する史料の発見を起点として、同史料の位置づけや内容分析を行い、そこから石森の国語教育思想を抽出することを試みた。</p><p>本稿では、次のことが明らかになった。第一に史料の作成時期に関して、石森が“course of study”の担当者としてその作成に携わったのと重なる時期に成立した文書であることが明らかになった。第二にその内容に関して、戦前・戦中の国語教育思潮と戦後の経験主義国語教育の思潮のあいだを埋めるような性格のものであることが明らかになった。「系統表」の各項目の内容は十分に体系化されていなかったものの、児童の経験を重視する姿勢や、社会生活を円滑に進める手段として言語を捉える射程を備えた。「国語科編(試案)」にかかわる石森の仕事は、戦後のあらたな国語科の成立を目指し、戦前・戦中の国語教育の経験を踏まえ、アメリカの言語教育思潮にも目を向けながら国語教育思想を構築して未踏の課題に取り組んだ、「国語科編(試案)」成立前夜の一場面として記憶されてよい。</p>

収録刊行物

  • 国語科教育

    国語科教育 94 (0), 14-22, 2023-09-30

    全国大学国語教育学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390016372308395648
  • DOI
    10.20555/kokugoka.94.0_14
  • ISSN
    21899533
    02870479
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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