TRPA1チャネルによるがん酸化ストレス防御

書誌事項

タイトル別名
  • TRPA1 channel mediates oxidative stress defense in cancer

抄録

<p>通常の居場所(niche)を逸脱して生存・増殖するがん細胞は,代謝異常や細胞外マトリックスからの解離など,様々な障害を受けている.これらの障害は細胞恒常性を揺るがす摂動因子であり,結果としてがん細胞は好気性生物が被る酸素毒性(即ち,酸化ストレス)の影響を色濃く受ける.つまり,強固な酸化ストレス防御能を有することが,がん細胞の生存にとって必須である.しかし,どのような機構でがん細胞が酸化ストレス防御を示すのかは,詳細が明らかにされていない.今回,主に感覚神経にて酸化ストレスセンサーとして機能するTRPA1チャネルが実は多くのがん細胞において発現しており,がん酸化ストレス防御機構を担うことを発見した.TRPA1はがん細胞において活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)を感知し,細胞内にCa2+を流入させることで抗アポトーシス経路を活性化する.本発見は,従来知られていたROSを減らす,即ち抗酸化を介する古典的(canonical)経路に加えて,TRPA1を介した酸化ストレス「耐性」という非古典的(non-canonical)経路の存在を示すものである.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 158 (6), 475-477, 2023-11-01

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (11)*注記

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