社会物質的アプローチから教員の発達を考える:学級担任制と教員人事異動に焦点を当てて

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タイトル別名
  • Teacher Development from the Sociomateriality Approach: Homeroom Teacher System and Teacher Personnel Change

抄録

<p>「チームとしての学校」が求められるようになって久しいが,今なお,教員の「個業化」「孤業化」は課題として残り続けている。この状況は,教員の健やかな発達を難しくさせている。本稿では社会物質性アプローチを援用し,人・モノ・制度の布置である「アレンジメント」という観点から,このような課題状況を打破する手がかりを示すことを試みる。まず,アレンジメントを可視化するために,教師を教員(教育職員)として捉え直すこととした。その上で,「個業化」「孤業化」と関連するディスコースとして,学級担任に関するディスコースと,人事異動に関するディスコースを取り上げ,どのような制度,設備・備品等がそれらに関わるのかについて検討した。検討に当たっては,政府統計や行政機関による文書,また教育経営学等の心理学以外の分野における先行研究を主な資料とした。結論として,「学校教育における基本的な単位が学級であること」「教員のキャリアが学級担任として開始される可能性が高いこと」,「人事異動の仕組みが見えないこと」による「年単位で業務が規定されることによる職務の不確定性」「異動を前提としていないように見える職場環境」がこれらのディスコースのエージェンシーを顕現化させるアクターとなり,「個業化」「孤業化」という課題状況が再生産され続けていることを示した。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 34 (4), 344-354, 2023-12-20

    一般社団法人 日本発達心理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017113108138496
  • DOI
    10.11201/jjdp.34.407
  • ISSN
    21879346
    09159029
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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