包括的性教育は教師にどのような認識の変化をもたらすのか

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タイトル別名
  • What Kind of Change in Recognition Does Sexuality Education Bring to Teachers?
  • A Case of a Female Teacher at a Special Needs School
  • 特別支援学校の女性教師の事例

抄録

近年,知的障害者の性教育は権利として保障され,国際的には包括的性教育が推進されている。本研究ではF 特 別支援学校での,教師研修や性教育実践による,女性教師(H 教諭)の認識の変化をインタビューにより明らかにした。その結果,性教育の困難感として二つの「壁」が語られた。一つは,性の学びの積み重ねがない子どもが,突然,性教育を受けることに感じる違和感の「壁」であった。その「壁」を生じさせないためには,低年齢からの性教育が必要であると考えられた。もう一つは,H 教諭自身が内面化していた,女性を性的客体と見なす男性像について,教育の場で問題提起したり,問い直す機会を与えられたりしてこなかったことから生じていた「壁」であった。しかし,H 教諭は性教育実施に向けた学びや同僚教師とのやり取りにより,自身の性への認識を相対化し,「壁」が崩れつつあることを自覚した。以上のように,特別支援学校で教師が協働で行う性教育は,教師の性教育への困難感を減じさせ,性への認識の変容につながることが明らかとなり,さらに,性教育の実施により教師自身が児童生徒や他者と豊かな関係を築くことができる可能性をも示唆していた。今後は,ジェンダー平等や,その社会構築性についても教師研修に含め充実させることが課題である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017345597735424
  • DOI
    10.24525/jaqp.23.special_s25
  • ISSN
    24357065
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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