更生保護における犯罪心理臨床の歴史と展望

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  • History overview and the prospects of the criminal psychological research in community–based treatment and rehabilitation of offenders

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抄録

<p>更生保護において,心理学専攻者は限定され,その成果も多くはないが,社会内で再犯しない生活を送るための臨床的援助の方法を研究することは,重要な犯罪心理学の課題である。まず,昭和期は,24年に犯罪者予防更生法が施行されたが,処遇機関の整備が追いつかぬなかで翌25年に『更生保護』が創刊され,保護司のケース研究がスタートした。昭和30年代に入り対象者数が激増し,法務総合研究所で再犯過程に関する研究が始まり,分類処遇,仮釈放者の選択など社会復帰過程に関する実証的研究も進んだ。昭和41年に保護観察官の実践研究を促進するため研究誌『更生保護と犯罪予防』が創刊され,直接処遇事例を中心に対象者の特質に応じた臨床報告が集積された。平成期に入り,グループワークや家族療法などの実践研究により保護観察に有効な処遇技法が模索され,19年に更生保護法が成立し,プログラム処遇の制度的導入という新たな段階を迎えた。医療観察制度の運用や福祉機関との連携強化を踏まえて,更生保護の処遇システムの進化とともに犯罪心理臨床の一層の展開が求められている。</p>

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