レヴィナスにおけるクィアな可能性を開くために : 『全体性と無限』における繁殖性の問題から後期レヴィナスの展開へ

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タイトル別名
  • Opening up queer possibilities in Levinas: From problems of fecundity in Totalité et infi ni to the development of Late Levinas
  • レヴィナス ニ オケル クィア ナ カノウセイ ヲ ヒラク タメニ ゼンタイセイ ト ムゲン ニ オケル ハンショクセイ ノ モンダイ カラ コウキ レヴィナス ノ テンカイ ヘ

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抄録

人間学・人類学 論文

本論の目的は、E・レヴィナスのセクシュアリティ論の規範性を批判的に検討しつつ、その規範性にもかかわらず現れる可能性を提示することにある。そのために、彼のセクシュアリティ論の規範性と可能性を、「クィア」の観点から浮き彫りにすることを試みる。本論は次のように展開する。第二節では、『全体性と無限』のセクシュアリティ論を時間論の観点から批判的に検討するための文献学的な足掛かりを作る。第三節では、繁殖性の時間構造が生殖を特権化する家父長的で、異性愛中心主義的かつシスジェンダー中心主義的な観点にあることを、『全体性と無限』第四部の「女性的なもの」概念から繁殖性概念へ至る時間論の展開から示す。第四節では、後期レヴィナスの記述が、この繁殖性概念の規範性から逸脱し、クィアな読解可能性を含むことを論証する。そのためにまず、後期レヴィナスの老化論を読解し、この老化論がM・プルーストの『失われた時を求めて』におけるセクシュアルな関係性の観点から具体化可能なことを示す。そしてさらに、レヴィナスのプルースト読解が表面上前提とする異性愛中心主義に反し、異性間の生殖から逸脱するクィアな身体性を『存在の彼方へ』(1974)の愛撫論が示すことを論じる。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 45 17-30, 2024-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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