郊外はどこへゆくのか<sup> </sup>

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タイトル別名
  • What Will Happen to the Metropolitan Suburbs?
  • 郊外はどこへゆくのか
  • コウガイ ワ ドコ エ ユク ノ カ

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説明

<p>    情報化とグローバル化が進み,都市のあり方や人びとの働き方・住まい方,考え方が大きく変化している今日,20世紀とともに成長してきた郊外は持続可能なのであろうか.本稿は,東京圏を対象に,大都市郊外の変容と展望について検討を行った. <BR>    20世紀の郊外を特徴づけてきた近代家族による職住分離の概念は,大きく揺れ動いている.片働きの専業主婦世帯はもはや典型家族ではないし,単独世帯や子供のいない家族も増えて,家族の多様化が著しい.高齢化にともなって高齢者だけの世帯も増え,郊外から都心に通う通勤者も減少している.その一方で,郊外の出身者が多くを占める新しい世代は,近居志向の地元回帰と脱中流化が著しい.郊外はもはや,大都市周辺の特別に意味付けされた場所ではなく,数ある日本の地方都市と変わることがない場所になりつつある. <BR>    そうしたなかで,過大化した大都市圏は人口の減少によって縮減がすすむとともに,近郊と遠郊の分断がすすんでいる.近郊は郊外住宅地として持続可能だとしても,もはや中産階級の均質な社会ではなく,多様な住民が住むパッチワークのような社会になりつつある.それに対して遠郊は,空き家や空き地が大量に発生して空洞化がすすみ,あたかも中身がスカスカのスポンジのような空間になりつつある.かつて郊外のスプロールが問題化したように,郊外のスポンジ化が問題化する懸念があり,秩序ある撤退戦が求められている.</p>

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