異型母斑との鑑別に苦慮した背部の表在拡大型黒色腫の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Superficial Spreading Melanoma on the Back that was Difficult to Differentiate from a Dysplastic Nevus

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説明

<p>55歳,男性。初診の半年前から背部に痒みを伴う黒色斑を自覚した。前医の皮膚生検によりメラノーマが疑われ,当科紹介受診となった。当科初診時,背部中央やや左側に 10×8mmの濃淡不整な黒色斑を認めた。前医および当科での皮膚生検では異型母斑かメラノーマかの確定診断が困難であった。全体像の評価目的で,残存病変に対して 5mmマージンで全摘出術を施行した。CTPET-CT では明らかな転移所見は認めなかった。全摘標本の病理組織では基底層から有棘層にかけて紡錘形あるいはパジェット細胞様の異型メラノサイトが個別性に増殖していた。表皮突起は不規則に延長癒合し,真皮には炎症性細胞浸潤や線維化を伴っていた。腫瘍細胞は S100 蛋白,HMB45MelanAPRAME で陽性,p16 は部分的に欠失していた。Ki-67 index は約30%であった。BRAF V600E 変異を認めた。生検標本では異型母斑との鑑別が困難であったが,全摘標本にて表在拡大型黒色腫の診断が可能であった。術後11ヶ月現在において,再発転移を認めていない。 (皮膚の科学,23 : 103-109, 2024)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 23 (2), 103-109, 2024

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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