乳酸菌基準株における菌体表層ムーンライティングプロテインの網羅的解析

  • 日比 友之
    東海大学大学院生物科学研究科 東海大学総合農学研究所
  • 田上 誠吾
    東海大学農学部
  • 中島 勇貴
    東海大学大学院生物科学研究科 日本学術振興会特別研究員
  • 浦上 雅史
    東海大学大学院農学研究科
  • 森井 大貴
    東海大学大学院農学研究科
  • 安田 伸
    東海大学大学院生物科学研究科 東海大学農学部 東海大学大学院農学研究科
  • 木下 英樹
    東海大学大学院生物科学研究科 東海大学総合農学研究所 東海大学農学部 東海大学大学院農学研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Comprehensive analysis of cell surface moonlighting proteins in typestrains of lactic acid bacteria

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説明

<p>近年,乳酸菌は宿主に対し様々な健康効果を示すプロバイオティクスとして注目されている。乳酸菌の菌体表層には多数のタンパク質が発現しており,これらがプロバイオティクスとしての機能に重要な役割を果たしている。多機能性タンパク質のムーンライティングプロテイン(moonlighting protein: MP)もその一つであり,腸管付着や重金属吸着などの様々な機能を示すことが報告されている。しかしながら,菌体表層のMPを網羅的に解析した報告は少ない。多くのMPは菌体表層に静電気的に付着しており,リン酸緩衝生理食塩水(PBS)での洗浄により容易に抽出できることが知られている。そこで本実験では,25菌株の乳酸菌基準株についてPBS抽出物のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)を行い,選抜した10菌株について,さらに高速液体クロマトグラフ/イオントラップ飛行時間型質量分析計(LCMS-IT-TOF)によりPBS抽出物を網羅的に解析した。SDS-PAGEの結果,バンドパターンが類似している属もあったが,バンドの濃淡や位置などに関しては菌株によって異なっていた。LCMS-IT-TOFの結果では,複数の基準株が共通してGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH),Enolase,Fructose-bisphosphate aldolase,10 kDa chaperonin(GroS),30S ribosomal protein S1,Cell-division protein A(CdpA),DNA-binding protein,Elongation factor Tu(EF-Tu)およびPhosphoglycerate kinaseなどのMPと示唆されるタンパク質を菌体表層に発現していることが示されたほか,Lactobacillus amylovorus JCM 1126TLactobacillus crispatus JCM 1185TおよびLactobacillus gallinarum JCM 2011TなどのLactobacillus acidophilusグループの基準株が他の基準株と比較して多種類のタンパク質を菌体表層に発現していることが示された。続いて,選抜した10菌株について菌体表面のゼータ電位や疎水性を測定したところ,ゼータ電位の高い上位3菌株がLactobacillus acidophilusグループの基準株であり,ゼータ電位と検出されたタンパク質の種類の間に有意な正の相関(r = 0.68, p = 0.03)が見られた。</p>

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