可視光線重合型レジンの重合率に関する基礎的研究III : モノマーの種類および触媒組成と重合率との関係

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  • Conversion in Visible Light-cured Resins III : Kinds of Monomers and Photoinitiator Compositions

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抄録

本研究は, 可視光線重合型レジンの重合率を改善することを目的とし, モノマーの種類および触媒組成と重合率との関係を検討したものである.可視光線重合型アンフィルドレジンは, 合成したシクロホスファゼン系モノマー3種および市販モノマー8種の計11種に, 6種の触媒組成を配合して調製した.試作したレジンについて, FT-IRを用い, KBr液膜法に準じて吸光度スペクトルを測定した.測定は, 光照射前および90秒間光照射した後の所定時間に経時的に行った.硬化させたレジン中の残存二重結合量(RDB)は, いずれのレジンの場合も, 光照射開始5分以降対数時間と直線関係で減少した.重合禁止剤を配合したレジンの場合, 重合率は9G>BPE200≧4G≧3G≧U-2TH>BPE100>EPM800+3G≧2.6E>(EMA)6>(EMA)7>(EMA)8の順となる傾向であった.一方, 重合禁止剤を配合しないレジンの場合, 重合率はBPE200>9G≧4G≧3G≧U-2TH>BPE100>EPM800+3G≧2.6E>(EMA)6>(EMA)7>(EMA)8の順となる傾向であった.シクロホスファゼン系のモノマーを用いたレジンの場合, 重合性官能基の置換数の減少とともに重合率が増大した.EDMA系およびBMPEPP系のモノマーを用いたレジンの場合, エチレングリコール鎖の鎖員数の増加とともに重合率が増大した.11種のモノマーを可視光線重合型アンフィルドレジンとした場合, 重合率は, 触媒組成A(CQ0.50wt%, DMAEM1.00wt%, BHT0.01wt%)およびC(CQ0.30wt%, DB0.15wt%, DMAB-EMA1.40wt%, BHT0.01wt%)を配合した場合が, 比較的高い値を示した.重合禁止剤BHTを配合しない場合, 配合した場合に比較して重合率は高い値を示したが, 保存安定性が低かった.

収録刊行物

  • 歯科材料・器械

    歯科材料・器械 11 (1), 127-135, 1992

    一般社団法人 日本歯科理工学会

被引用文献 (7)*注記

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