日本における常緑カシ類2種の個体および優占林の分布を規定する気候条件

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タイトル別名
  • Climatic controls of the distribution and abundance of two evergreen Quercus species in Japan
  • ニホン ニ オケル ジョウ リョク カシルイ 2シュ ノ コタイ オヨビ ユウセンリン ノ ブンプ オ キテイ スル キコウ ジョウケン

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抄録

アカガシとウラジロガシの分布を規定する気候要因と閾値を分類樹解析を用いて明らかにした。種ごとに(1)個体の分布(SP-model)と(2)優占林の分布(DO-model)の2つをそれぞれ従属変数とし,暖かさの指数(WI),最寒月最低気温(TMC),夏期降水量(PRS),冬期降水量(PRW)の気候要因を独立変数とした。その結果,個体ではTMC,優占林ではWIが分布を規定する主要な要因であった。個体分布では2種ともにTMC約-5℃以上で分布適域となり,この閾値は常緑広葉樹林の耐性限界温度とされる最寒月平均気温-1℃とほぼ一致した。2種ともに優占林の分布適域のWIは個体に比べて狭く,寒冷な条件に偏っていた。個体と優占林とも,アカガシがPRS約1,500mm以上の多雨な太平洋側で,ウラジロガシがPRS1,034mm以上の太平洋側と日本海側で出現確率が高くなっていた。PRWは,ウラジロガシで著しく出現確率を低下させないが,アカガシではPRWの多い地域で出現確率を低下させていた。

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 51 (1), 27-37, 2009

    森林立地学会

参考文献 (60)*注記

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