傾斜地の自然落差を利用した散水氷結法による茶園の凍霜害防止

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  • Prevention of Frost Damage at Hillside Tea Field by Sprinkler Irrigation using Natural Waterlevel
  • ケイシャチ ノ シゼン ラクサ オ リヨウシタ サンスイ ヒョウケツホウ ニ

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抄録

本研究で検討した,「傾斜地の自然落差を利用した散水氷結法による凍霜害防止」の設置条件設定は以下のとおりである。<BR>(1) 傾斜面25度内外では,吐水口径2.4mm,吐水仰角23度のスプリンクラーを吐水圧2.5kg/cm2で使用する。<BR>(2) スプリンクラーの高さは茶株面から80cmとし,スプリンクラーは水平10.4m×上下8.7m(90m2)毎に1基を千鳥に設置する。<BR>(3) 吐水圧2.5kg/cm2で,散布深2mm/hr以上を確保するには散水むらを考慮して,3.6t/hrの水量を必要とする。<BR>(4) 2日連続して霜があることを予想して,72tの水が必要で,時間当り1.3tの流入水があるときは30m3の水槽を設置する。<BR>(5) 吐水圧2.5kg/cm2を確保するため,標高差30m以上の位置に水槽を確保する。<BR>(主管及び,支管口径の設計は管路摩擦損失水頭表を参照する。)<BR>(6) サーモスタットは1℃にセットする。感温部は茶園の最も気温が下がると思われる場所に置く。<BR>(7) 防霜期間は萌芽期直前から一番茶摘採までとする。かくして,防霜効果を発揮することが明かになった。傾斜面15度付近では,平坦地に準じた設置法でよい。<BR>なお,本散水法は少量の水を万遍なく散水できることから,病害虫(ダニ類,クワシロカイガラムシを除く)の防除にも,効率かつ経済的に利用することができるものと思われる。<BR>本試験を行うに当り,懇切なる指導を賜った農林水産省野菜・茶試験場作業技術3研究室 青野英也(前)室長に厚くお礼申し上げる。<BR>また,実験の遂行にあたって助言を賜った,高知県茶業センター 大野金省前所長,本稿をとりまとめるに当たって指導を賜った高知県茶業センター野村二郎所長に厚くお礼を申し上げたい。

収録刊行物

  • 茶業研究報告

    茶業研究報告 1989 (69), 13-20, 1989-06-01

    Japanese Society of Tea Science and Technology

参考文献 (2)*注記

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