疎水性イオン及びイオノホア添加時の脂質二分子膜を介したイオン透過の電気化学的研究

  • 白井 理
    京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻生体機能化学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Electrochemical Study on Ion Transports Across a Bilayer Lipid Membrane in the Presence of Hydrophobic Ions and Ionophores
  • ソスイセイ イオン オヨビ イオノホア テンカジ ノ シシツ 2ブンシマク オ カイシタ イオン トウカ ノ デンキ カガクテキ ケンキュウ

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抄録

疎水性イオンやイオノホアを添加した場合の脂質二分子膜(BLM)を介したイオン透過をボルタモグラム解析により検討した.疎水性イオンを添加した場合は,疎水性イオンのみが移動するのではなく,共存する対イオンとともに膜内に分配し,膜電位印加によりイオンが移動することを明らかにした.なお,移動イオンは系のイオン組成や印加膜電位で決まり,移動電流の大きさはイオンの水相|膜間での分配比と移動イオンの拡散係数に依存した.キャリヤー型のイオノホアを含む膜でも,イオノホアと錯形成するイオンのみが移動するのではなく,対イオンとともに分配して,膜電位印加に伴い両イオンが逆向きに移動することが分かった.更に,チャネル型のイオノホアであるグラミシジンAを含むBLMでも,対イオンの疎水性やイオン半径にイオン移動電流が依存することから,グラミシジンAと親和性の高いイオンとともに対イオンがチャネル内あるいは近傍に分配し,膜電位印加に伴いイオンが移動することを提案した.<br>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 56 (7), 547-560, 2007

    公益社団法人 日本分析化学会

参考文献 (84)*注記

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