森林保全戦略としてのレオポードのウィルダネス思想

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タイトル別名
  • Leopold's wilderness ideas as forest conservation strategies
  • シンリン ホゼン センリャク トシテノ レオポード ノ ウィルダネス シソウ

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アメリカの国有林において1920年前後に提案されたウィルダネス空間が,1964年のウィルダネス法成立を経てその面積を増大していった。その動きに影響を及ぼしたレオポードのウィルダネス思想の展開過程を,森林空間保全のための実践的理論であるという視点から分析した。ウィルダネスは車道の否定に象徴されるように多数の利用を期待しないレクリエーション空間で,景観資源に乏しく,その保全のためには思想として展開することが不可欠であった。そこでレオポードはウィルダネス空間の経済的負担が少ない点や再生困難性という経済的側面を訴えるだけではなく,アメリカ固有の文化としてのウィルダネスの重要性や生態系が健全に機能している空間であるという認識を訴えた。そこから土地倫理という考えが発展してきた。当初は空間設定に対する国民の理解を得るための思想であったが,その展開過程で次第に空間から離れ,今日の環境倫理学に取り込まれることにより実際の森林空間との関係が薄くなった。すなわち,彼の意図に反してウィルダネス空間保全から乖離した。特に森林がイメージとして理解されかちな日本では,実践的森林保全理論であった事実が忘れ去られ思想として理解され,現実とのギャップを埋めることが必要となっている。

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