高濃度ホウ素イオン注入チタン薄膜のキャラクタリゼーション

書誌事項

タイトル別名
  • Characterization of High Dose B<SUP>+</SUP> Implanted Ti Thin Films
  • コウ ノウド ホウソ イオン チュウニュウ チタン ハクマク ノ キャラクタリ
  • Thin films-preparation, structure and properties. Characterization of high dose B+ implanted Ti thin films.

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抄録

イオン注入法による物質合成の最大の特徴は,被注入物質と注入イオンの非熱平衡状態での反応過程にある。それゆえに,イオン注入法を用いることによって,従来の手法では高温に加熱することなしには困難であった高融点材料の薄膜化や,まったく新しい機能性材料の非加熱プロセスでの合成が期待される。本研究では,スパッタリング法で作製した膜厚170と300nmのTi薄膜にB+イオンを高濃度に注入して,高温機能性材料として期待されるTiB2の合成を行なった。イオン注入は,加速電圧を60kV,注入量を7.14×1017,2.30×1018 ions/cm2にして行なった。二次イオン質量分析(SIMS)による注入イオンの深さ方向分布の測定によれば,このような高濃度注入でも注入イオンの平均射影飛程はLSS理論による計算値とよく一致した。2.30×1018 ions/cm2の注入のとき,ホウ素の最大濃度は,固相反応で作製したTiB2におけるホウ素濃度を上回った。X線分析によってホウ素イオン注入したTi薄膜中には,TiB2の微結晶が生成していることを確認し,その生成過程について検討した。膜厚170nmのTi薄膜にホウ素を注入した直後では,4.2から350Kの広い温度範囲にわたってO.3ppm/K以下という非常に低い抵抗温度係数を示した。焼鈍実験の結果,この特異な電気抵抗特性は注入膜の微細構造に起因するものと推察された。

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