鉄輸送タンパク質トランスフェリンのランタノイド錯体に関する研究-N,C両サイト錯体の解離反応速度を中心として-

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タイトル別名
  • Lanthanoid Complex of Iron-transport Protein, Transferrin --Kinetic Study on Release of the Metal from N and C Binding Sites--
  • テツ ユソウ タンパクシツ トランスフェリン ノ ランタノイド サクタイ ニ

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抄録

動物の鉄代謝上重要な役割を果たすトランスフェリン(Tf)はN,C2か所の金属結合サイトをもつ。本研究では,ニワトリ卵白Tf(ovoTf)とヒト血清Tf(seroTf)を用い,N,C両サイトにおけるランタノイド(Ln)錯体の形成能と安定性を系統的に比較検討した。両TfともLa(III)とは錯形成が認めらず,Ce(III)ではapoTfとの混合溶液を長時間放置すると黄色(λMax≈420nm)を呈し,Tf-Ce(IV)錯体の形成が考えられた。ほかのLn(III)はTfと無色錯体を形成。EDTA添加による解離速度またはFe(III)との交換反応の測定から,両TfともCサイト錯体の方がNサイト錯体よりも安定,また,N,C両サイトともovoTfの方がseroTfよりも安定なことが明らかとなった。解離速度の半減期は両TfのN,CサイトともLnの原子番号の増大とともに増加,錯体の安定幌は,Ln(III)のイオン半径に大きく依存していることが示唆された。ovoTfの30%飽和口におけるLn(III)のN,C両サイトへの分配比の測定は,Ln(III)が平衡的にもCサイトへの高い親和性を示した。これらの結果は,Fe(III),Al(III),Cu(II)およびCe(IV)などの金属イオンがovoTfにおいてNサイト配向性および高安定性を示すことと逆であった。

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