低オレフィンガソリン燃料を用いた給油時と終日車両保管時に排出される揮発性有機化合物とオゾン生成能を考慮した大気質評価

書誌事項

タイトル別名
  • Volatile Organic Compounds and Air Quality Assessment Using Ozone Formation Potential in Refueling Loss Tests and Diurnal Breathing Loss Tests Using a Gasoline Fuel with Low Olefins
  • テイオレフィンガソリン ネンリョウ オ モチイタ キュウユジ ト シュウジツ シャリョウ ホカンジ ニ ハイシュツ サレル キハツセイ ユウキ カゴウブツ ト オゾン セイセイノウ オ コウリョ シタ タイキシツ ヒョウカ

この論文をさがす

説明

本研究では、ガソリン燃料蒸発ガス組成の特性と大気環境への影響度を把握することを目的とし、市場で販売されている燃料に比べてオレフィン類の含有量が少ないガソリン燃料により、給油時と車両の終日車両保管時(DBL)において排出される揮発性有機化合物を調査した。給油時の排出では、実際に計測した蒸発ガス組成比に対し、ラウールの法則(燃料組成比と蒸気圧のデータ)から推定した蒸発ガス組成比を比較した。その結果、蒸発ガスの計測値と燃料組成からの推計値の組成比はおおむね一致し、給油時の環境温度や流速による大きな差異は見られなかった。DBL試験において、蒸発ガスの組成は、車両保管時の1日目は芳香族分の割合が高く、2日目以降はパラフィン類が主成分であり、燃料蒸発ガスのうち、低い分子量のVOC(C5以下)の割合が高かった。これら組成の違いは、1日目までは透過(燃料タンクやチューブからの揮発)により、2日目以降は破過(燃料タンクからの蒸発ガス回収装置(キャニスタ)中の活性炭からの揮発)によるものと考えられる。大気質への影響を評価するため、最大増加反応性(MIR)を用いたオゾン生成ポテンシャル(OFP)による指標値を算出した。給油時やDBL試験のキャニスタ破過後のOPFは、本研究で用いた燃料組成から推定した蒸発ガスのOPFと類似する結果であった。また、国内外の燃料組成のデータを比較した場合、蒸発ガスのOFPは燃料中の組成によって大きく変化し、特にオレフィン類の含有量の影響を受けることが示唆された。地域別のVOC排出量について各発生源の排出量で重み付けしたOFPEWを調べた結果、給油時とキャニスタ破過後による寄与は地域により異なることが示唆された。また、全発生源からのVOC排出量のOFPEWに対する燃料蒸発ガスによる寄与は、2010年8月のケースで4~21%であった。

収録刊行物

  • 大気環境学会誌

    大気環境学会誌 50 (6), 266-277, 2015

    公益社団法人 大気環境学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ