ヨーロッパと比較した日本の長期人口動向

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タイトル別名
  • Long-term Population Dynamics in Japan Compared with Europe

抄録

本論文は,少子高齢化社会における様々な地域の共通点と相違点に着目し,欧州各国との比較という観点から日本の過去から将来にかけての人口動向を明らかにするものである。今後予測される人口減少と高齢化に対処するための二つの人口の選択肢(出生力の回復と移民の受け入れ)の役割と影響力を1960年から2060年における人口動向の観察と形式人口学的分析により検証した。日本は40年にわたる人口置換水準以下の出生率に加えて大幅な移民の受け入れがない場合の帰結を長きにわたり受け入れることになる。これは,近年,欧州地域の人口増加において移民が,最大とは言えないまでも,重要な要素となった欧州との違いをもたらしている。確かに,出生率の回復は日本の人口減少と高齢化の影響を緩和するものの,それが人口減少と高齢化を回避させるわけではない。実際,現在の人口構造は,たとえ突然のベビーブームにより出生率が人口置換水準にまで回復し,死亡率の改善がまったくなくなったとしても,現在の過程がしばらく続くことになる。いくつかの欧州の国では,今後の移民動向に依存して人口増加が続く,あるいは減少が緩やかになることが期待されるが,人口減少がすでに始まっており今後より加速的になると見られる日本では状況が異なる。人口高齢化については,欧州のすべての国で予測されているものの,その水準は日本で推計されているものより(はるかに)低い。人口構造と高齢化の水準は,日本と欧州の人口の経路の乖離をもたらす両者の違いにおける実質的な要素と言えるであろう。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282679621864320
  • NII論文ID
    110009890697
  • DOI
    10.24454/jps.50.0_7
  • ISSN
    24242489
    03868311
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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