自閉症児・者の就労に関する研究 : 自閉症児・者の職業能力評価

書誌事項

タイトル別名
  • Vocational Abilities : A Comparison of Adolescents with Autism and with Mental Retardation
  • ジヘイショウジ シャ ノ シュウロウ ニ カンスル ケンキュウ ジヘイショウジ

この論文をさがす

抄録

自閉症児・者の就労を促進するためには、就労前の適切な職業能力評価が重要な課題の一つと考えられる。この職業能力において、自閉症児・者の職業能力を見いだすため、精神薄弱児・者との比較により各職業能力の得点を元に因子分析を行い、自閉症児・者の職業能力がどのように分類されるか検討し、さらに個別検査別に自閉症児・者と精神薄弱児・者の能力の相違を分析した。因子分析の結果、精神薄弱児・者では「言語理解の因子」「手腕の運動能力の因子」及び「知覚的体制化の因子」が抽出されたが、自閉症児・者においてはこれらの因子の他に「社会生活能力の因子」と「作業能力の因子」が抽出された。また、各個別能力評価において「言語理解能力」を必要とするものにおいては自閉症児・者は精神薄弱児・者に比べ低い能力を示したが、「つながりのある運動機能能力」及び「言語理解を含まない知覚的体制化能力」においては、自閉症児・者の方が、高い能力を示すことが認められた。すなわち、自閉症児・者は視覚的情報を頼りとする単純作業にその職業能力の特性があるが、情報を系列的に処理していく能力は不得手であることが示された。

収録刊行物

  • 特殊教育学研究

    特殊教育学研究 29 (2), 33-44, 1991

    一般社団法人 日本特殊教育学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ