気管・気管支に発生した腺様嚢胞癌切除例の臨床病理学的検討

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タイトル別名
  • Clinicopathologic Study of Surgically Treated Cases of Tracheobronchial Adenoid Cystic Carcinoma

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抄録

目的.気管・気管支原発の腺様嚢胞癌(ACC)手術症例につき検討した.対象と方法.切除標本でACCと病理診断された5例を対象とした.年齢は37~67(平均50.8)歳,全例女性であった.発生部位は中枢:4,末梢:1例であった.リンパ節転移はN2:1,N1:1,N0:3例で,病理病期はIA:1,IIB:2,IIIB:2例であった.術式は肺全摘:2,葉切:2,気管分岐部切除:1例で,気管・気管支形成術を3例に施行した.結果.N2例は袖状右肺全摘術後15ヶ月で遠隔転移により死亡した.N1例は袖状右中葉切除術後9年6ヶ月で局所再発し,残存右肺全摘術を施行,さらに4年10ヶ月健在である.N0例3例のうち末梢発生の1例は左上葉切除術後7年11ヶ月で他病死した.他のN0例は切除断端陽性例で,1例は気管分岐部切除・二連銃型再建術後に放射線療法を施行し12年健在,もう1例は左肺全摘術後に放射線療法を施行し10ヶ月健在である.結論.ACCは一般的にはslow growingであり,転移することはまれだが気管支壁に沿って進展するために根治切除が困難な症例も少なくない.手術では気管・気管支形成術が必要とされる症例も多い.断端陰性例に対する術後放射線療法については未だcontroversialな問題である.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 48 (4), 261-265, 2008

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (25)*注記

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