書誌事項
- タイトル別名
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- A yolk sac tumor arising in the mediastinum
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説明
背景 : 卵黄嚢腫瘍 (yolk sac tumor : 以下, YST) は胚細胞腫瘍の一亜型で若年層以下の性腺に発症し, AFP (alpha fetoprotein) を産生する比較的まれな疾患であるが, ごくまれに性腺外に発生する. われわれは, 縦隔に生じた YST の 1 例を経験したので報告する.<br>症例 : 20 歳代後半, 女性. 胸部 X 線および CT にて左前縦隔に巨大腫瘤を認めたため, 腫瘤穿刺吸引細胞診を施行し, 未分化な悪性腫瘍と推定. その際に作製したセルブロックにて特殊染色を実施し, YST と診断した. その後, 細胞診標本を詳細に再検討したところ, 硝子球 (hyaline globules : 以下, HG) や “Balloon animal”-like cell cluster (動物風船様細胞集塊 : 以下, “BA”-like cluster) と呼ばれる細胞集塊など YST に特徴的な細胞所見を少数ながら認めた. 患者は化学療法後, 腫瘍摘出術が施行された. 摘出腫瘍組織は壊死塊を呈した. 術後経過良好である.<br>結論 : YST の細胞診断において, HG や “BA”-like cluster などの細胞所見は診断的価値の高い所見であり, これらの所見を把握することは重要である. しかし, これらの細胞所見だけでは, 組織型の推定や類似疾患との鑑別が困難な場合がある. セルブロックを有効に活用し, HE 染色や免疫染色結果と臨床所見を総合することにより, 正しい診断に達することができると考える.
収録刊行物
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- 日本臨床細胞学会雑誌
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日本臨床細胞学会雑誌 53 (3), 224-228, 2014
公益社団法人 日本臨床細胞学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679671394176
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- NII論文ID
- 130004513259
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- ISSN
- 18827233
- 03871193
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可